JOB TALK VOL_2

25年間、
この仕事の面白さは
変わらない。

森木 康太

左官職人を目指したきっかけを教えてください。

私の実家は祖父の代から続く左官屋をしていました。小さい頃は左官職人がどんなことをしているかわからなかったけど、中学生の時に職業体験で初めて実家の仕事をやってみたんです。すごく難しかったけど、コテできれいに壁を塗っていく繊細な仕事ぶりに憧れ、「左官の仕事ってかっこいい!」と思いました。同じ壁を塗る作業でも、職人によって仕上がりが全然違う。自分もこんな風にきれいに塗れる職人になりたいと思い、中学卒業後から祖父や親父のもとで左官の仕事をするようになりました。実家の会社では多い時で10名ほどの左官職人を抱えていましたが、年々職人の数が減っていくという状況でした。そんななかで、もともと夏見の仕事を請け負っていたこともあり、20歳の時に夏見でお世話になることになったんです。

入社してどんな現場を担当しましたか。

夏見に入社して初めて担当したのはコンクリート造の市営住宅。「こんな大きな現場をやるの!?」と驚きました。
夏見が手がけるのは病院や学校、商業施設など大きな現場が多いので塗るところがたくさんあるんです(笑)
どの現場もとにかく塗ることが毎日楽しくて、そのまま20年過ぎたような感じですね。

印象に残っている現場はありますか。

富山県小矢部市にある「道の駅 メルヘンおやべ」です。コンクリートを使って地面や壁に天然石やレンガなどの自然な風合いを再現する「スタンプコンクリート」という工法の作業でした。スタンプコンクリートは石やタイルのように形のあるものを貼り付けるのではなく、生のコンクリートで表現するため「世界に一つしかない石」とも言われています。
材料によって乾きのタイミングが異なるため非常に難しい作業でしたが、我ながらきれいに仕上げることができたので達成感がありました。今でも近くを通るたびに、その時のことを思い出して嬉しくなります。

左官の仕事の上手さはどんなところでわかりますか。

左官の仕事は仕上げ塗りだけでなく、下地塗りといってコンクリート躯体にモルタル等を塗って平面にする作業も行います。一見地味に思われがちですが、どんな状態でも左官で平滑にするのは熟練の技術が不可欠。ただきれいに塗れたらいいというわけではなく、その後に作業に入るシートやクロス貼り、塗装といった後工程の職人さんが仕事がしやすいよう、場所によって細かな微調整が必要です。次の工程に合わせた塗り方ができていると、「こいつやるな!」と思いますね。
左官職人はすべて手作業のため、手のクセや力の入れ方など一人ひとりの感覚に委ねられています。私も10年くらいかけてやっと「うまく塗れる感覚」をつかめたような気がします。

25年間、左官の仕事を続けてきてどんな変化を感じますか。

以前に比べ、働き方や安全面に対する意識が高まりましたね。左官の仕事自体も、使う材料や設備、工法、技術が年々進化しているので、日々勉強が必要だなと感じます。ただ25年経っても変わらないのは仕事のかっこよさと面白さ。現場監督に「きれいに仕上がったなあ!」と褒めてもらえた時は嬉しいですし、失敗しても「次はどうやってうまく塗ろう?」と試行錯誤できるのが毎日楽しくて仕方ないです。

ここ数年で後輩の職人を教えるようになったと聞きました。

そうなんです。自分より若い世代の職人が入ってきたので、教育係として教えることになりました。
職人の数が年々少なくなってきているので、新人が入ってきたのは本当に嬉しかったですね。自分が若い時は先輩の職人といってもおじいちゃんのような年代の人ばかりで、誰も手取り足取り教えてくれないので頑張って見て覚えるだけ。
「この人たちより絶対にうまくなってやる!」という反骨心で必死に練習していたように思います。後輩を教えるのは初めてですが、できているところをしっかり褒めて一人ひとりの良さを引き出していきたいですね。一人前になるにはまだ5年以上はかかりそうですが、富山の左官業界を盛り上げるような腕の立つ職人に育ってほしいなと思っています。

休日の過ごし方を教えてください。

左官職人の現場は朝早いことが多いのですが、夕方は遅くとも17時くらいには仕事が終わります。家族との時間をゆっくり取れるので、無理なく働ける環境です。休みもしっかりあるので、家族で買い物に出かけることも多いですね。
娘に「あの建物、お父さんが塗ったんだよ」と自慢することもあります(笑)

職場の雰囲気を教えてください。

仲間意識がとても強く、先輩後輩関係なく話せる仲の良い職場だと思います。
夏見社長も親父のような存在で、いろんなことを相談できるのが頼もしいですね。私自身もできるだけ後輩たちが仕事のことを相談しやすい雰囲気をつくろうと心がけています。社員みんなそれぞれ性格は違いますが、その個性もお互いに認め合えているので、居心地は良いと思いますよ。

最後に、左官職人を目指す方へメッセージをお願いします。

左官職人は現場や季節、そして職人の腕によって仕上がりがまったく異なる奥が深い仕事。本当に飽きることがありません。住宅やビル、公共施設など、私たちの暮らしにとって大事な場所をつくる大事な役割があるので、やりがいも大きいと思います。
高い技術が求められる仕事ですが、どこでも通用する職人として成長できるよう一人前になるまでのサポートは私たちがしっかりします。安心して飛び込んできてください!

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